せっけんと合成洗剤とのちがい

食器や衣類を洗う時、水やお湯だけではどうしても落ちない油汚れは洗剤を使って落とします。それは、洗剤の界面活性作用の働きを利用して落としているのです。

では、界面活性剤とはどんなものでしょう。水と油は互いに反発しあって混じりあわない界面が生まれます。その反発しあう力を混じりあわせる働きをするのが界面活性剤です。

汚れの落ちるしくみは経済産業省のHPもごらんください>

界面活性剤は大きく分けて「せっけん」と「合成洗剤」の2種類があり、以下はその比較です。

せっけんと合成洗剤の比較表

せっけん 合成洗剤
約5000年前,肉を焼いたときに落ちた油脂が木灰と混じって偶然せっけんができ、それ以来使われている。 歴史 第一次世界大戦中せっけんの原料が不足し、ドイツの科学者が石油から作り、使われるようになってからまだ約100年しか経ってない。
脂肪酸ナトリウム
脂肪酸カリウム
界面活性剤 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)、硫酸ナトリウム(AS) 等PRTR法で人の健康を損ない、動植物の生息に支障をきたすと言われる第一種指定化学物質にあげられている。
動物や植物の油脂に苛性ソーダまたは苛性カリを反応させて作る。家庭でも簡単に作れる。分子構造は単純 作り方 主に石油の精製過程で生じるナフサが主原料。大工場で高温、高圧をかけて作る。分子構造は複雑
せっけんは排水後はほぼ1日で分解され、環境への影響少ない。5000年来使われているが、
人体への影響はほとんどない
影響 せっけんに比べ分解が遅く環境への影響大。排水を浄化する微生物まで死んでしまう。
人体への影響あり。手荒れ、水泡、ひどいときは内臓障害。

~せっけんの家からのメッセージ~

せっけんは脂肪酸ナトリウまたは脂肪酸カリウムの化合物で界面活性剤です。自然に及ぼす負荷はゼロではありません。しかし河川に流れた時、せっけんは微生物によって分解されます。

合成洗剤は、石油から作られた合成界面活性剤で、河川に流されてもなかなか分解されずに、長い間水に溶けずに川底や海底に蓄積して、魚介類や海藻に影響を及ぼしています。

一滴の水が川となって海へ、巡り巡って雨や飲み水となって私たちのところに戻ってきます。せっけんを使うことは、水を汚さない暮らし方につながっています。